なぜ「結論から話す」が重要か?
日常会話では意識されませんが、ビジネスコミュニケーションでは、結論から話すことが重要とよく言われます。
ではなぜビジネス上「結論から話す」が重要か?を説明できるでしょうか。
ずばり、結論から話すメリットは3つ。
1.結論から話すことで聞き手が最初に知りたいこと、つまり、話す人が何を言いたいのか?を明確にできる。
2.何を言いたいのか?がわかると、後につづく説明や根拠によって、その「言いたいこと」がどのように導かれたのか?を理解することができる。
3.なぜそうなのか?という謎解き形式で話が進むため、聞き手の興味を引きつけ、彼らが話の途中で飽きることを防止できる。
以上の3点結論から話す理由で、これは聞き手側のメリットでもあります。
逆に話し手側のメリットといえば、話し手が話すときに自分の主張を明確にすることができます。
自分で結論をまず考えることで、結論に必要な証拠や論拠を構造的に整理することができ、自分自身の結論=主張について、より深く考えることができます。
具体的にメールやチャットでのコミュニケーションでは、どうすればよいでしょうか?
内容の結論を先に書くと思った人。
半分正解ですが、半分間違いです。
メタ視点においては、コミュニケーションをするとき、まず、1.パスをつなぐ、2.内容を話すいうように2ステップが必要です。
日常会話でも、まず、この人話を聞いているかな?の確認から入ります。
話を聞いてなさそうだったら、内容の話をしたところで単なる独り言にしかなりません。
なので、まず、これから話す内容がなんなのか?を説明して注意をひきます。
これが1.パスをつなぐということです。
例えば、何が言いたいの?何をしてほしいの?というメールやチャットを誰でも受け取ったことがあるかと思います。
なぜかというと、何をしてほしいのか?会話の目的を先に書かないとこうなります。
単なる情報共有なのか、フィードバックが欲しいのか。
内容を全部読んで「目的をこれかな?」とご自分でお考え下さいというやりかたは、受け手の負担が大きいです。
なので、内容に入る以前に、どういう目的でコミュニケーションを始めたいのか?
つまり、これが何のメール/チャットなのか?を先に書きましょう。
件名や本文の最初に「情報共有」や「ご依頼」や「ご相談」など、そのメールのメタの結論(目的)が書いてあると、聞き手もグッとわかりやすくなります。
たったの3~4文字ですが、効果は絶大です。
逆に一番困るのが、受け取り側でアクションが必要か、不要か(ただ読み流せばよいか)がわからないメール/チャットです。
受け取った側は「これは、情報共有ですか?それとも何かアクションが必要ですか?」と聞き返す手間がかかります。
多忙な人なら、いちいち聞き返している暇もないので、基本情報共有だと思って何もしないことが多いです。
特に期限が迫っていて、すぐにアクションしてほしいという時に、スルーされると困ります。
なので最初の一歩として、まず、コミュニケーションの目的と相手に何をしてほしい/する必要はない・・・を先に書きましょう。
日常会話とビジネス会話の違いとは?
日常会話では、先に結論=オチを話してしまうとネタバレになるので、結論は最後に言います。
これを演繹法的な話型(わけい)といいます。
少し詳しく説明すると、演繹法とは一般的な原理から特定の結論を導く論理的な推論方法のことです。
具体的には、前提となる一般的な原理(公理)を用いて、その原理から特定の結論を導き出すという方法です。
例えば、以下のような構造で推論します。
- 公理:すべての人間は死ぬ
- 前提:太郎は人間である(もし太郎が人間ならば)
- 結論:太郎は死ぬ。
この例では、一般的な原理である「すべての人間は死ぬ」という公理から、前提となる「太郎は人間である」という事実(ファクト)を用いて、推論を行い「太郎は死ぬ」という結論を導き出しています。
次に、結論を先に話す構造、つまり帰納法ですが、演繹法の逆の順番になります。
- 結論:太郎は死ぬ。
- 前提:太郎は人間である(もし太郎が人間ならば)
- 公理:すべての人間は死ぬ
1.まず、言いたいこと=主張=結論を述べます。
結論は「太郎は死ぬ」ですね。
2.次に、なぜそう思うのか?、理由を述べます。
「太郎は人間だから」
3.最後に、一般的な原理を述べます。
「人間は全員いつかは死にますよね?」
このように結論を先にいうことで、聞き手はなぜそうなのか?という理由が次にくる!と準備ができます。
だから、「楽」なんです。
ビジネスの会話ではこの帰納法の型が前提なので、この先どうなるの?とアレコレ考える必要がないから楽なんです。
この「型」にハマってないと、聞き手は「型」の分析に脳のリソースを使うことになり疲れますからね。
聞き手に負荷をかけないコミュニケーションは重要です。
帰納法の型とは?
帰納法の話型は、PR、EP、PE、PERP、PREEPなど、いろいろなパターンがあります。
伝えたい内容により、これらを使い分けていくのですが、1つ例としてPEER法を紹介します。
PEER法は、次のような構成になっています。
- P(Point):結論を1文でまとめる。
- E(Example):具体例を1~2個挙げる。
- E(Explanation):それぞれの例について説明する。
- R(Result):結論を再度繰り返す。
このPEER法を用いると、非常に分かりやすい文章を書くことができます。
例えば、
P: このSNSにこの広告を出せば、売り上げは10%以上アップすると考えられます。
E: なぜなら、この広告はターゲットにピンポイントでアプローチでき、ターゲット層のニーズにマッチしているからです。
E:具体的には、○○○などのデータが示すとおりです。
R:ですから、この広告を出すことが、売り上げアップの近道であると考えられます」
といった具合です。
まとめ
このように、ビジネスでのコミュニケーションにおいては、結論から話すことが非常に重要です。
相手が何を知りたいのか、何が必要なのかをしっかり把握し、必要な情報を効率的に伝えることが求められます。
PEER法などの型・フォーマットを用いて、簡潔かつ分かりやすい話しをするスキルは、ビジネスにおいて非常に役立つ武器となります。
とはいえ、あまり「型」にこだわりすぎて、コミュニケーションの頻度が下がっては本末転倒です。
そもそも「型」は使っていくうちに理解できる=身についていくものですから。
この話を聞いていきなり「わかった!」とはならないのです。
何度も間違って、相手のフィードバックが入ることで初めて、本当の「型」を理解できるので。
コミュニケーションとは1人で作るものではないですからね。
なので、今の説明を読んでも「何を言いたいのかわからない」と思われるかもしれません。
でも、それが普通ですし、誰でも通る道なのです。
上司も通ってきた道なので、正しい型か?を気にしすぎず、臆病にならず安心してコミュニケーションをしていきましょう。
正直、マネージャーレベルの人たちでも何が言いたいのか、こちらで結論の整理が必要だったりしますからね。
型を意識しすぎて、何も言えなくなるほうがよくないです。
逆に、とにかく何かを発言して、フィードバックを数もらったほうがスキルの蓄積も早いので。
カッコつける必要はないので、どんどん試していきましょう!