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コンサル1年目 必須知識 A11 ファクトで話す

なぜ1年目でもコンサルは話ができるか?

コンサルタントは経験豊富なクライアントと話をすることが多い。

特に1年目であれば、確実に自分より経験豊富な相手しかいない。

そんな相手となぜ話ができるか?というと、ファクトベースで会話するから。

 

ファクト(Fact)とは、客観的な現実や真実に基づく事実の事ね。

ファクトは主観的な意見や仮説ではなく、確かな証拠やデータに基づいているモノだね。

具体的な数字や統計データ、観察結果、実験結果などがファクトの例だよ。

 

事例:IT業界でファクトで話す

IT業界でいえば、システムの仕様(書)、データ件数などがすぐに思いつくね。

僕の例だと、1年目にデータ照合の作業を上司から依頼されたんだ。

 

クライアント会社では日本から海外の子会社にモノを輸出する業務があるんだよね。

その時は新しいシステムへ切り替え直後のため、日本からの出荷額と子会社の受入額に多くの差異があり、

その理由を明確にするためにデータ照合をしたんだ。

 

まず、大枠の方針として作業範囲を決めて、次に範囲内のデータを入手するところから始まるよ。

データは数10万件あるんだけど、照合のためのユニークキーがそろっているとはかぎらない。

他にも、複数の詳細データが1つのデータに合計されていることもある。

 

こんな状況だけど、まずキーを仮に決めて、エクセルの関数である程度、自動的に紐づけしてみる。

やってみた結果、自動で紐づけできないデータが8万件残ったんだよね。

次は、8万件を目視で地道に1件1件紐づけしていく。

目視で紐づけして、差額があればさらにその原因(例えば入力ミス)を調査する。

 

差額の調査は、実際にデータを登録している担当と会話して確認をとるよ。

例えば、複数の担当者がいて端的に質問しないと回答をもらえなかったり、忙しいから後回しにされたり。

正直めんどくさく、誰もやりたくない仕事だから、後回しにもなるよね。

 

そんな感じで、嫌がられることもあるけど、普通の人が嫌がる仕事をやるのがコンサルだからね。

人気のある仕事は誰でもできるから、コンサルがやる必要がないからね。

 

で、3か月をかけて子会社10社分の照合を行ったよ。

全体のデータ数に対し、97%は一致していて、残りの3%が不一致という結果。

そして、最終的にすべての不一致の差異について原因を明確にするまでやったよ。

あとは個別に修正作業を行えばOKという状態になったってことね。

 

直接のクライアントである課長は「感覚的には差異は少ないだろう」と思っていましたが、実際の数字ベースで事実を把握できておらず、上長である部長や外部監査人を納得させる「証拠」がなかったんだ。

なので、我々コンサルタントがそれを調査して、ファクトとして見える化したんだよね。

事実は予想通り、かなりの割合で数字は一致したということになる。

 

この照合結果によって、課長が感覚的に思っていたことが、データで裏付けがとれ、部長に説明ができるようになった。

ちなみに、この照合結果を課長に説明したのは僕でなく、僕に作業を依頼したマネージャだよ。

僕は、特にビジネス経験もなければ、社内のシステムや業務に関してはまったく何も知らない単なる素人。

でも、クライアントが知らなかった事実を数字・データに基づきに示すことによって、価値を出すことができたんだ。

 

現状を変える方法とは?

データで具体的に示すことが、一年目の武器になる。

何か疑問があれば、事実を集めてデータにする。

このように地味だけど動かせない事実こそが、1年目のコンサルにとって、もっとも有効な武器となるよ。

 

他の例だと、業務上、非効率だったり、無駄だと思えることがあって、それを改善したいと思っているとするよね。

そういうときに「○○は非効率だと思います。変えるべきです。」といっても、人は納得しない。

多くの人は自分の業務にケチをつけられると、自分がダメだと言われているように聞こえるから。

 

さらに、業務を変えたら仕事がなくなる、つまり、自分の居場所がなくなるという恐怖を持つ人もいる。

(実際は仕事なんていっぱいあるんだけど)

これを同一化というよ。

 

業務と自分が同一化して、業務がダメだと言われると、自分がダメだと思ってしまう人が多いんだ。

そして、日本語というのはハイコンテキスト言語だから、関係者間での共通認識がつくりにくい。

だから事実で会話すればいいんだけど、事実で会話しても、同一化する人は事実を直視できない。

だから、業務もガラパゴス化、個別最適になり、それによって、孤独や自分が正しいのか?と不安になる。

ただでさえ孤独や不安だから、さらに孤独や不安を増やす不都合な事実を直視したくないという構造があるんだ。

 

こんな構造だから、漠然と現状問題があると思いますといっても、なぜ新人がそんな偉そうなことを言うのか?と思われてしまう。

だから新人であればあるほど、事実を、数字を拾ってこないといけないってことね。

逆に新人の提言であっても、それが数字ベースの事実ならば、聞いてもらえる。

 

注)聞いてはもらえるけど、事実を直視できるか?はクライアントの人間性、自分が大事か会社が大事か次第。

  提言が受け入れられなくても、それは相手の問題なので別に気にしなくていいからね。

 

根拠のない主張は単なる個人の意見・感想だよ。

そして、単なる意見は「それってあなたの感想(感情)ですよね」で返されてしまいます。

 

なので、何か主張がある場合、例えば「○○がおかしい、非効率だ」と思ったら、まず、事実を集める。

そして集めるときは、具体的なものを集めるってことね。

 

そして集めるときは、自分が地道に手を動かして、調べなければ決して数えることができないようなデータ(情報)を集めることだよ。

ウェブサイトや新聞で調べればすぐにわかるような一般的な情報でなくてね。

もし集めたデータに意味があれば、それが完全に無視されることはないから。

 

見ている人は見ているから。

この作業は地味だけど、地道な作業をするのが、新人の役割だよ。

1つ1つのタスクの結果がどうであれ、1つ1つのタスクの積み上げがコンサルの基礎体力であり土台となるんだ。

だから、1つ1つのタスクの成否に一喜一憂せずに、目の前の仕事を事実ベースでしっかりこなしていこう。

まとめ

  1. 経験のない1年目の唯一の武器がデータ(事実)。
  2. 他では得られない自分で集めたデータが有用である。

では、今日はここまで。

お疲れでした。

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