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コンサル1年目 必須知識 A31期待値を把握する

期待値と幸せの関係

コンサルティングを行う上で一番重要なことはなんでしょうか?

それはユーザのニーズに応える。あるいは、ニーズ以上のバリュー(価値)を出すということです。

これはコンサルティングに限らず、ビジネスの普遍的な原則です。

 

コンサルタントはコンサルティング会社を通じて、ユーザに価値を提供しています。

競合会社など無視できるくらい価値を提供できているなら、コンサルタントもコンサルティング会社も間違いなく存続できます。

逆に、価値を提供できなくなれば、コンサルタントもコンサルティング会社も不要になります。

 

つまり、ユーザにより多くの価値を提供したものが生き残るわけです。

コンサルが行う、目の前の1つのタスクにも、このビジネスの基本は適用されます。

つまり、1つ1つのタスクに、相手のニーズがあり、ニーズを上回る価値を出せれば、またあなたが指名されるということです。

 

逆に、ニーズを下回る価値を提供すれば、指名が来なくなるということです。

もちろん、1回下回ったからといって、即退場にはなりませんが、トータルで常に上回ることが重要です。

常に上回ると考えるとしんどいかもしれませんが、それは期待値の本質を「知らない」からなので。

 

そもそも期待値ってなんなん?

安心してください。期待値を常に上回ることが、なぜしんどくないかを説明します。

これは、コンサルあるあるですが、コンサルはつい自分が作りたい資料を作ってしまうのです。

その結果、上司に「こんな資料は頼んでない」とダメ出しを受けます。

 

よくある話ということは、誰でも、こうやって成長するんだよで片付けてもいいんですが、タイパ悪いですよね。

そう、ここで重要なのは、相手のニーズを把握することなんです!

・・・なんて話をよく聞きますよね。

でも、これが間違いの元なんです。

 

そもそも相手のニーズ自体、相手も知りません。

え?って思うかもしれませんが、あなたも経験があるはずです。

例えば、あなたが、彼氏彼女つまり、パートナーが欲しい!と思ったとき、あなたはパートナーに求めるニーズ(期待値)をもれなく言語化できますか?

かわいいとか、かっこいいとか、お金持ちとか、評価軸とその優先順、1位から100位まで言語化するんですよ?

このような期待値の評価軸がないと、期待値を正しく表現できませんからね。

 

まぁ、普通できませんよね。

逆にできていたら、AIで完璧にマッチングできて、マッチングビジネスがオワコンになります。

マッチングビジネスがなくならないのは、ニーズを言語化してないからですし、もしニーズを表した文章があったとしても、ピンとくるかというとピンとはこないんです。

結局、実際に会ってみて、こういうところが好き、イマイチ・・・とまず、現物(?)を見て、言語化されたニーズを初めて理解する。

 

これは、コンサルのタスクでも同じです。

まず、こういう感じですか?という資料を作って、「現物」ベースで、質問をぶつけて、ああでもない、こうでもないとフィードバックをもらう。

ここでニーズが詳細化、言語化されるんですよね。

 

つまり、フィードバック(ダメ出し)が起こって初めて、相手のニーズがはっきりしてきて、相手の期待値がわかってくるんです。

だから、いきなり「この資料はまさに私のニーズにピッタリだ、120点だね!」にはなりません。

どれだけ精巧な資料でも、なんか違うんだよなぁとか言われてしまうんです。

だから、期待値というものは最初からあるものじゃないし、相手だけじゃなく、関係者で作り上げるものなのです。

 

資料のレビューが苦手な方へ

資料作成するとき、ダメ出しは避けたいと思いませんか?

完璧に仕上げてから見てもらいたいとかとか。

鉄の心臓を持っている人がうらやましいなどなど。

 

私は正直イヤでしたね。

が、実は本人がそう思っているだけで、上司やクライアントは全然思ってなかったりするんですよね。

なんなら、どうせできないんだから、とにかく持ってきて赤入れさせろまで思っています。

実際、赤=お手本を写経する事から始まるんですけどね、コピーライティングの世界なんかだと。

 

新人時代、自分の中でどれだけカッコつけても、1が2になる程度で、10できる上司から見たら誤差なんですよ。

だったら、いかに上司の頭の中にある期待値=正解をフィードバックを通して素早く吸い上げるか?の方が重要です。

そのためには、フィードバックループを細かく回すことが重要です。

 

そもそも本当にできる上司なら、最終的には自分が巻き取る前提で新人に仕事を振りますからね。

言い方は悪いかもですが、とりあえずやらせてみないと、どの程度「できないのか?」の判断もできないから、やらせてみる。

くらいの話なんですよ。

 

キツイ上司との付き合い方

できる上司なら「最後は全部オレがやる」と思ってます。

たいてい怒るのはできない上司なんです。

自分の持つ能力以上にクライアントにいいところを見せようとして、非現実的な目標を設定する。

「俺じゃない、クライアントが絶対にヤレ!といったから」というのも一緒で、できないという不都合な真実を言えないだけで。

「やってみないとわからないだろ」ともいいますが、できそうなタスクでも、できなそうなタスクでもそれは一緒で、「1は1だ!」という無意味なワードです。

 

怒る上司というは、自分がこうだったらいいなぁと思う妄想とのギャップに対して怒っているんです。

現実のあなたに怒ってるんじゃなくて、妄想のあなたに怒ってるだけです。

自分で設定したハードルが単に高すぎたというだけなのに、なぜか怒っている。しかも周りに対して。

 

これって、自尊心の問題で、自尊心が低い上司はこういうふるまいをしがちです。

なので、みなさんも上司の見極めは重要で、自尊心が低そうな上司は避けるようにしましょう。

とはいえ、苦行が好きな方はそのような上司を選んでも良いと思います。

期待値は自分で決めればよい

少しそれましたがニーズを上回るためには、まずニーズが何かを主体的に定義してく。

彼氏彼女の例で説明した通りですが、ほとんどのクライアントはニーズも明確でないので、究極的には、あなたがニーズを「設定してあげれば」良いのです

ロジックをつかって、これこれこうなので、こういうニーズがありますよねと。

 

なんでもいいんです。

ロジック、筋が通っていればそれだけで、そうかも?と思いますし、違うなら、何が違うかわかりますから、一歩前進です。

ニーズという期待値を上回るのが大事といいましたが、期待値、つまりニーズというゴールポストはあなたがロジックをつかって動かせるので、期待値を超えることは難しくありません。

 

ただ、1点問題があって、クライアントにはロジックが通用しない、感情で語る人もいるということです。

「この機能を作るのはこれこれこういうタスクがあって、タスクを整理するとこういうスケジュールで、1か月かかりますね」

とロジックで説明しても、いや、ここのタスクは3日じゃなくて、(感覚的に)1日でできるだろうという人ですね。

ロジックが通用しない人。

 

もしかすると、あなたであれば1日かもしれませんが(んな訳ないけど)、あなたと全く同じ能力を私が持っているわけじゃないんですから。

だし、大体の場合、こういう方は自分の能力を高く見積もりすぎなんですよね。

期待値の見積ができない理由

そもそも、正確な見積には、正確なタスク定義(あいまいな手順がないこと、誰が見ても同じ結果になる手順書)と、

タスクを実行する人間の、そのタスクに対するパフォーマンスを事前に正確に把握できることの2点が必要になります。

 

ルーチンワークで、手順書もあり、多数の人間のパフォーマンス評価の蓄積があるなら、それなりの見積ができるかもしれません。

しかし、プロジェクトとはやったことをない事をやるわけで、やったことがないタスクは事前に手順書をつくれません。

さらに、やったことがないタスクを実行する人間のパフォーマンスはもっとわからないのですから。

 

このようなプロジェクトの見積の困難さを理解していない人は多いです。

ルーチンワークじゃないし、一般業務のようにシンプルでもないわけで。

でも、同一視してしまう。

 

同一視してしまう人に当たると、ロジックが通用しないので、感情での会話になります。

感情ベースであれば、個人個人の主張が100%正しく、とにかく頑張るという選択肢しかなくなります。

これを筋が悪いといいます。

 

期待値を上回るための戦略があるよ

頑張るという選択も戦略の1つではありますが、他にも戦略があります。

ビジネス・お仕事の戦略は大きく2つ。

SP(Strategic Positioning)とOC(Organizational Capability)です。

簡単に言えば、SPはポジショニング。

競争をしない方法で優位を作る方法。

AppleやGoogleなど、GAFAに代表される、ネット企業の戦略です。

 

一方で、OCとは、組織力。

相手と同じ土俵でどう競争するか、カイゼン・TPSで競争力自体を上げる方法。

頑張るというのはOCだとも言えます。

 

コンサルティングをする上での戦略として、私のお勧めはSPです。

私は学生のころからずっとSP戦略をとってきたので、バイアスがかかっている可能性がありますが、それを差し引いてもSP一択だと思います。

日本人だと、義務教育という同じ土俵で頑張るクセがついているので、どうしてもOC戦略を取りがちです。

 

でも、これだけビジネス環境が多様化している以上、相手と同じ土俵に立つ必要はありません。

もし、相手と同じ土俵にたってしまうと、相手の得意な土俵で、相手以上に頑張るしかなくなるからです。

今は、ビジネス環境もそうですし、プロジェクト環境、人間関係も、多様化しているので、自分が優位をとるポジショニングの設定はどうとでもできるんですよね。

 

なので、上司から教えられた「頑張る」戦略しか知らない上司にはあまり近づきたくありません。

なぜなら、俺と同じ土俵で俺以上に頑張れというのがOCだから。

もちろん、競争が好きで、マウントを取りたい人はこっちの方があっているでしょう。

 

一方で、多様性っていいよね。

みんな得意な領域で、競争や比較をされずに楽に生きようよという人はSPがあっています。

SPとOC、どちらが正解ということはないのですが、自分がどちらの戦略で相手の期待値を上回ろうとしているのか?は理解しておきましょう。

 

ちなみに、これもニーズと一緒で、いきなりどちらの戦略が自分にあってるか?なんてわからないです。

どちらがあっているかをこれから検証・評価していくための軸を今、理解したという事なので、あくまでこれから仮説検証してく段階ということってことですからね。

「私は知らない」、すべての出来事は「仮説・検証」でしかない。

だから知るために私は検証をする。

これだけです。

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